痛快な結末を期待するなら『ダ・ヴィンチの密命』がお勧めだ。世界最高の情報機関モサドの元長官でありながら美術品の修復師という異色の経歴を持つガブリエルは、世界中の要人と交友関係を持ち、さながら舞台の主演俳優のようにヒーローを演じ巨悪を出し抜く。ガブリエルは超人的な才能の持ち主であり、その道のエキスパート達をいとも簡単に懐柔する。悪人に対峙するにあたって、理想的なシナリオを書き、パーフェクトゲームで試合終了を迎える。凄腕の窃盗犯やハッカー、現役のスパイが確実にパスをつないでフィニッシュを演出するのも愉快だ。
それにしても、作り出す設定の妙には感心する。なにしろ、ローマ法王と元モサド長官が親友というのが痛快だ。戦争大好きのイスラエルスパイと平和と友愛の使者がである。また、レオナルドダヴィンチの未発見の絵画がバチカンで見つかるという設定もなかなか奇想天外だ。
ところで、ガブリエルは良いタイミングでモサドを引退したと言えるだろう。イスラエルは今まさにアメリカを巻き込んでイランと戦闘の真っ最中。世界世論は、イスラエルとアメリカへの非難を強めている。勿論、ガブリエルは架空の人物であるから戦闘にかかわらせる必要はないのだが、全く意に関せずでは興醒めだ。余計なことではあるが・・・。