印象派 『室内をめぐる物語展』を観てきた。あの時代印象派とよばれたメンバーのほぼ全ての作品が並べられ、その共有された世界観を感じることが出来た。観衆は、目にした物をありのままに描写する姿に、時代を超えて共感したに違いない。

心理状態までもがわかるような人物描写や、その時代の装いにはさまざまな想像を掻き立てられる。部屋に差し込む光や、屋外の光とその影の織りなす美に感動する。様々な花をモチーフにした秀作の数々には思わずため息が漏れる。この美しさは、誰かと共有せずにはいられない。絵画の正義はまずは美しいこと、改めてそう感じる。

一つ一つの作品を見てみよう。静物画や風景でしか馴染みがなかった、ポール・セザンヌの肖像画『ギュスターヴ・ジュフロワ』には少し驚かされた。この絵を見てセザンヌの絵だと即答出来る人はほとんどいないだろう。逆にセザンヌだと言われれば、なるほどセザンヌらしい色使いですね。セザンヌらしい構図ですと蘊蓄をかたりたくなる。コリネリス・アリ・ルナンの『ジュール・フランソワ・ディエ夫人』は等身大で女性の全身を描いている。美しい立ち姿だが顔を背けているのが残念だ。しかし、このようになにか物語を想像できるような作品が私は好きだ。エドガー・ドガの『家族の肖像』も意味深長だ。みんな色んな方向に顔を向けている。きっと何か有ったに違いないと思わずほくそ笑む。

エドガー・ドガ 『家族の肖像』

展示は室内から、屋外へと誘う構成。室外コーナーで最初に目に入るのは、アルベール・バルトロメの『温室の中で』の大作。温室の扉が開かれて、外から眩い光が差し込んでくる。影の入り方が自然で写真のように正確な描写だ。背後の景色も整然と描かれている。

アルベール・バルトロメ 『温室の中で』

そして、この展示会でことさら目をひいたのは花を描いた秀作の数々。ラトゥール、セザンヌ、ピサロ、ルノワールなど名だたる名手の共演。そんな名手を押さえて、私的最高殊勲選手はエルネスト・クォストの『バラ』。一面バラの大作だ。女性陣が立ち止まってため息を漏らしていた。

エルネスト・クォスト 『バラ』

観客は以外にに少なかった。しかし、一見の価値ありの展覧会である。